不正受給をした給付金を返還した場合の税金について

個人の税務調査立ち会いを行っていると給付金を得るために確定申告書の数字を改ざんしてしまった方が一定数います。

特に申請が容易であった持続化給付金の申請については不正受給が多いようです。

そのため以下では持続化給付金を例に不正受給の問題を検討します。

 

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※参考(経済産業省HP 2022.4.27時点の返還実績)

持続化給付金 返還申出件数:21,654件 返還済み件数:15,373件 金額:約16,546百万円

家賃支援給付金    返還申出件数:1,113件 返還済み件数:1,108件 返還済み金額:約869百万円

不正受給の自主返還(体験事例もご紹介)

不正受給は犯罪行為に該当するため、刑事告訴、氏名等公表が行われるといわれており一刻も早く自主返還を行う必要があります。

自主返還の場合には原則、加算金や延滞金もかからないようです。

返還を行う場合には返還したい旨を関係機関に連絡をし、関係機関から返還に関する案内に基づいて返還をすることになります。

 

※返還したい旨の連絡を実際に行った方の話※

連絡する前は、不正受給に関して問い詰められたり、怒られりすることは覚悟して連絡したようですが、実際にはそのようなことはなく、返還に関する手続きの説明を受けたとのことでした。

また下記のようなことをおしゃっていたことが非常に印象的でした。

「あの頃は事業をしている人の多くが給付金をもらわないことは損だ!!という雰囲気がありました。そのため、私も不正受給をしてしまったが実はずっといつか不正受給を指摘されるのではないか?という不安がありました。今回、返還手続きが出来き、お金としては負担感はありますが、内心ではほっとしているのも事実です。」

 

不正受給の自主返還に伴う税金

持続化給付金については確定申告を行う際に収入金額に含めて申告をする必要がありました。

このことは広く周知されていたため、不正受給をしてしまった方の多くが、受給した給付金を収入金額に含めて確定申告していると思われます。

そのため、自主返還した場合にはその分多く税金を支払っていることになります。

このような場合には更正の請求という手続きにより多く納めた税金の返還を税務署へ求めることとなります。

更正の請求は法定申告期限から原則5年間行うことが出来ますが、当初申告が間違いであったことを納税者サイドが証明する必要があります。証明するためには関係書類の提出を求められることになります。

※税務調査により、持続化給付金、月次支援金、事業復活支援金の不正受給が発覚した場合には、税務調査期間中に返還手続きが完結した場合には、調査後の修正申告に加味するか、税務署の職権による更正により還付手続きを行ってもらうことになります。

ただし、業界紙(税務通信NO3709号)によれば「事業所得者が本来80万円しか受給できないところ、申請誤りにより100万円を受給し、差額20万円を自主返還した場合には、事業所得の計算上、所得となるはずだった金額は事業所得を生ずべき業務について生じた費用として、令和4年分での必要経費にすることができる。」との記載もあり、全額返金か一部返金かにより取り扱いが異なると思われます。

まとめ

持続化給付金の申請期間が令和2年5月1日から令和3年2月15日だったことから、令和3年分までが調査対象となる令和4年4月以降の税務調査で確認作業の本格化が予想されます。

不正受給は犯罪行為であり、今後の自身の事業にも大きな影響を及ぼす可能性があることから早めの自主返還を行いましょう。