税務調査体験事例

同一生計親族名義の自宅を必要経費算入させる場合には経費算入割合に注意が必要。

フリーランスで仕事をしている場合、自宅で仕事をしているため住宅関連費用の一部を経費に入れる方も多いと思います。

住宅を賃貸で借りている場合には借りている金額のうち、事業に利用している分を必要経費として算入します。

一方、少しわかりにくいのが自宅が賃貸でない場合です。

このような場合、建物部分を減価償却を通じて事業に利用している割合分を必要経費に算入させます。

ただし、住宅ローンとの関係上、注意点も多くあります。以下では実際の税務調査で問題となった事案をご紹介します。

※事案は匿名かつ概略のみとし、事実関係を一部変更したうえ、ご本人の承諾を頂きご紹介しています。

納税者:Yさん フリーランス7年目 埼玉県川口市在住

税務調査での問題点:本事案では当初申告にて奥さん所有の自宅を減価償却を通じて30%を費用化。税務調査でその割合について調査官から問題があると指摘された。                

ひらい
ひらい

先日の税務調査、お疲れさまでした。

その後、税務署から指摘事項がありました。

調査官から、自宅の減価償却について問題を指摘されています。

Yさん
Yさん

やはり妻所有の物件について経費にしたのが問題だったのでしょうか?

ひらい
ひらい

いいえ、奥さん所有物件であっても必要経費に算入させること自体に問題はありません。

これは所得税税法基本通達56-1にも以下のように規定がしっかり存在しています。

所得税法基本通達56-1

(親族の資産を無償で事業の用に供している場合)

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその有する資産を無償で当該事業の用に供している場合には、その対価の授受があったものとしたならば法第56条の規定により当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなる金額を当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入するものとする。

Yさん
Yさん

それでは何が問題となっているのでしょうか?

ひらい
ひらい

問題となっているのは、利用割合です。

税務署サイドで奥さんが住宅を購入した際に行っている住宅ローン控除の申告書を調べたようです。

その申告書には居住割合100%と記載されており、どちらが本当なのか納税者へ確認してほしいといっています。

仮に事業に利用している割合が30%であれば奥さんに修正申告及び期限後申告を提出するよう言ってほしいとのことです。

Yさん
Yさん

・・・・・。

なるほど。

そこは妻と話し合いをしてみないと何とも返答のしようがありませんね・・・・。

事業として利用している分はあるので経費には入れたいところですが・・・・。

ところで、どこまでの利用であれば問題が生じないのでしょうか?

ひらい
ひらい

住宅ローン控除は事務所兼事務所の場合、以下のような制限を受けます。

50%以上が事務所利用・・・・ローン控除不可

50%未満~10%超が事務所利用・・・割合に応じてローン控除

10%未満が事務所利用・・・・全額ローン控除可能

Yさん
Yさん

なるほど、私としては妻に迷惑がかかるのは嫌なので、利用割合について再度検討をしてみます。

実際に自宅なのでこちらが主張している30%部分についても家事用として利用している時間もあります。そのあたりの時間配分についても考えてみます。

ひらい
ひらい

承知しました。

調査官については割合についてはYさんが再検討をする旨を伝えてみます。

まとめ

・自宅の経費算入割合については税務署はしっかりチェックしている。

・同一生計親族が負担している経費については必要経費に算入することが出来る。

・住宅ローン控除の申告書に記載されている内容はチェックされている。

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