税務署の異動も終わり、これから本格的な税務調査シーズンを迎えます。
弊所では個人事業主様からの調査立ち合いの依頼割合が高いため、過去の取引資料を紛失している場合によく遭遇します。
特に今まで無申告であった個人事業主の方の場合、税務調査は自分には入らないものと考えている傾向が強く、その割合も高いように感じます。
つい先日も埼玉県春日部市の個人事業主様から春日部税務署からの税務調査に関するご相談を頂きましたが、 資料の多くを紛失している状態でした。
実際に資料紛失をしている場合には様々なデメリットが生じます。ご相談を受けた場合にも、そのデメリットから把握をして頂くことが多いです。
そこで以下では資料紛失による影響と対処方法について検討してみたいと思います。
記事自体は約3分(太字だけであれば1分)で読めます。
税務調査を受ける予定の方で資料を無くしてしまった・・・という方は一読することで、今後どう動くべきか検討出来るようになると思います。
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仮装隠蔽行為? 重加算税?
故意に資料を廃棄していると認定されるような場合には重加算税が賦課されてしまいます。
重加算税は税額の35%が課され、尚且つ延滞税の特例も使えなくなってしまうため、最も避けたい附帯税です。
更に重加算税が賦課された場合には一般的には税務調査の頻度も高くなってしまいます。
消費税に大きく影響
消費税の計算方法は原則課税と簡易課税という2つの方法に大別されます。
簡易課税は届出書を提出する必要があるため、届出書を提出していない方や無申告の方などが消費税の課税事業者に該当する場合には自ずと原則課税により計算されることとなります。
ここが大きな落とし穴になります。
原則課税の計算方法はざっくりいうと以下のとおりです。
納付税額 = 消費税がかかる収入の消費税 - 消費税がかかる支出の消費税
しかし、上記の「消費税がかかる支出の消費税」を引く(仕入税額控除といいます)ためには要件があります。
その要件とは「帳簿保存の義務」というものです。
本来、理屈としては帳簿保存の義務は一定事項を記載した帳簿を保存しておくことなのですが、個人事業主の税務調査の場合には、資料が残っているかどうかが判断材料となっているように思われます。
そのため、資料を紛失している場合、帳簿保存の義務の要件を満たさず、仕入税額控除が出来きなくなくなり、多額の消費税を納付する必要が生じてしまうのです。
資料を紛失してしまった場合の対処法
資料を紛失してしまった場合、まず行うべきは過年度の資料の収集です。
税務調査はとにかく資料が重要です。
資料の一部だけ紛失している場合には資料収集は容易ですが、大半を紛失しているような場合には、例え一部だけでも収集できるものは集めておくことが重要です。
また、過去の資料の収集と合わせて進行年度分の資料の収集もしておくことをお勧めします。
仮に過去の資料の収集が思うようにいかない場合でも、進行年度分の資料により、推計課税(税務署がおそらくこうであっただろうと推計し課税すること)による課税を実額に近い形で行ってもらえる選択肢を用意するためです。
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