建設業

埼玉県川口市の税務調査立ち会い事例(個人事業主)

埼玉県川口市は子供を連れて川口グリーンセンターや川口市立科学館サイエンスワールドなどに遊びにいったり、事務所がある越谷市の隣接市であることから、青色申告会や他団体でセミナー講師をさせて頂いたりと、よくお仕事をさせて頂く地域でもあります。

今回はそんな川口市在住の個人事業主の方から、お問い合わせをいただき、税務調査のご相談に対応をさせて頂きました。

※事案は匿名かつ概略のみとし、事実関係を一部変更したうえ、ご本人の承諾を頂きご紹介しています。 

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ご相談の経緯

ご相談者の方は個人事業主として10年以上前に独立をされ、建設関係のお仕事をされている方でした。

確定申告は奥さんが資料をまとめ、期限ギリギリになんとか帳簿を作成し、確定申告時にSKIPシティの確定申告無料相談会にて確定申告書の作成を行ってきたとのことでした。

しかし、奥様自身がそれほど会計や税金に詳しいわけでないため、税務調査の連絡が来てから一気に不安になり、税務調査の立ち会いを依頼しようと近所の税理士事務所にいくつも電話してみたものの、いずれも対応できないと断られてしまい弊所に相談にきました。

面談した結果わかった問題点

面談時にご持参頂いた資料

・過去の申告書

・過去に税務署へ提出した届出書

・請求書や領収書

・通帳

過去の資料を拝見し、色々とお話しをする中でいくつかの問題点がありました。

強引な調査日時の決定

税務署職員

ネットで検索すると「調査日程は都合が悪ければ延ばすことが出来る」とすぐに出てきます。

確かにその通りなのですが、この辺りは調査官も慣れたもので、安易な調査日程の引き延ばしは難しく、場合によっては強引に日時を決められてしまいます。しかも、税務署はお役所なので土日は不可。平日昼間に対応する必要があり仕事を休む必要があります。

本件では、旦那さんの業務が元請先での仕事がメインとなっている時期に重なっており、都合がなかなかつかないので一か月ほど待ってほしいといったところ、「都合が合わなければ元請先にいって調査をしてもよい」と半ば脅しのような形で強引に調査日時の決定がされていました。

そこで、調査日時の決定方法について抗議するとともに、間違いなく資料を揃えたうえ調査協力をすることを約束し調査日時を1か月延長してもらうことになりました。

売上の一部が計上漏れ

奥様は旦那さんから資料が溜まったら預かり、その資料に基づき会計帳簿の作成を行っていました。

そして会計の入力も確定申告前に大急ぎで行っていたため、事業についてお二人で深く話し合いがされておらず、そのことが原因で、一部の売上が計上漏れとなっていました。

また、入金された段階で売上計上がされており、その是正も必要でした。

経費の一部が計上漏れ

領収書1

面談にて領収書を確認させて頂いたところ、一部必要経費にはならないようなものがありましたが、それ以上に領収書がでないような経費について帳簿に記載がないことが分かりました。

領収書がないものは経費にならないものと思い込んでいたことが原因でした。

そこで、税務調査が実施される前に一緒に必要経費になりそうな事項を検討し、その金額の算定根拠資料の作成を行ってもらいました。

税務調査(臨場)から調査終了まで

税務調査の当日の流れ

調査当日(臨場調査)は調査官2人(新人とベテラン)で実施されました。

・10時~11時30分

調査官から質問事項。(仕事の内容や申告書の作成方法など)

・11時30分~12時すぎ 

午後の本格的な調査に向け、どのような資料があるのか確認。

・13時~16時30分 

調査官が帳簿関係・領収書等の確認

・16時30分

臨場調査は終了。

税務調査の折衝

税務調査は調査中の受け答えが重要ですが調査が行われた後の折衝も重要です。

調査官は臨場調査時に得た情報を上司(統括官)に報告し、その後、調査方針を練り、代理人である税理士に連絡してきます。

その際、しっかりした理屈のもとで指摘を行う調査官もいれば、まったく法的根拠もないのに不思議な指摘事項により否認してこようとする調査官もいます。

本件では調査官から追加経費について不思議な指摘事項がありました。以下では追加経費について調査官とのやり取りを対話形式にてご紹介します。

調査官からの連絡(臨場後2週間ほど経過したある日)

先日提出して頂いた追加経費の件ですが、当初から帳簿に記載がないので追加経費は認められません。
いや、まってください。

当初から帳簿に記載がないから認めないなんておかしいですよ。必要経費かどうかにより判断すべきではないでしょうか?

そう言われましても税務署としてはそのような決まりになっておりまして、上司からも追加経費は認められないと言われていますのでご理解ください。
そんな理屈では到底納得できません。

税務署のルールは法的根拠に乗っ取って行われるべきです。

私も納税者へなぜ認められないのか理由をしっかり説明する必要がありますので、しっかりした法的根拠を示してお話ししていただきたい!!

・・・・・。
分かりました。確認を行ったうえで再度連絡いたします。

電話連絡をしてきてから数日後

先日お話しした追加経費の件ですが、青色申告の場合、下記のように所得税法に記載があります。
「青色申告者は、青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額が正確に計算できるように次の各号に掲げる資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引(以下この節において「取引」という。)を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づき、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。」
そのため、お話ししたとおり追加経費を認めるわけにはいきません。
正規の簿記の原則については私も当然理解していますが、この条文から、追加経費を計上することができないとは読めませんよ。
それは拡大解釈しすぎだと思います。
・・・・・。
分かりました。上司と相談のうえ対応を検討いたします。

税務調査の結果 

この事案については、他の指摘事項と総合勘案した結果、こちらが提出した追加費用の大部分は認めれるとの判断により修正申告等を提出して終了となりました。

ここで注意すべきは、上記のような話は税務調査では頻繁に起きるということです。

多くの調査官はしっかりとした法的根拠に基づき、税務調査を実施していると思いますが、一部の調査官は税務署の権威を借り、納税者が税法を知らないことを利用し、あたかも修正するのが当然とばかり法的根拠がないことまでも強要しようとすることがあります。

不明点はしっかり確認をしたうえで税務調査を進めることが重要です。

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