納税

予納制度の利用について

税務調査により、追加納税が発生する場合、一般的な流れとしては修正申告を提出する際に合わせて追加納税を行います。

しかし、税務調査が長引きそうな場合、その見込額をあらかじめ納付することが出来る制度があります。

今回はこの予納制度についてご紹介します。

予納制度とは

予納制度とは税務調査等によりおおむね6か月以内に納付すべき税額が見込まれる場合に修正申告等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を税務署長へ申し出て、予め納付することが出来る制度です。

予納制度のメリットは延滞税の負担軽減

税務調査等により追徴税額が発生する場合、本税以外にも延滞税と加算税の負担が生じます。

このうち延滞税は法定納期限の翌日から実際の納付される日までを計算期間として課される利息的な性質をもつものです。(令和6年7月現在の延滞税の率は納期限の翌日から2か月を経過する日まで2.4%、それ以降は8.7%)

予納を行った場合、この延滞税が納付された日までとなるため、負担が少なくなることがあります。

予納制度を特に利用すべき時とは?

延滞税は法定納期限の翌日から計算されますが、一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。

しかし、この特例は「偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き」という条件付となっています。(国税庁HPでは延滞税の計算方法に、偽りその他不正行為とは記載せずに重加算税が課された場合を除くと記載している)

そのため、特に利用すべきは重加算税が付加されたり、偽りその他不正行為とされる可能性があるようなケースです。

偽りその他不正行為や重加算税が課されるようなケースは調査期間も長くなりがちですし、除外期間もないため、調査終了までまっていると延滞税がかさみます。

納税資金の余裕があるような場合には予納制度を利用することにより延滞税をストップさせ傷を少しでも浅くすることも検討したほうが良いでしょう。

国税通則法61条 (延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)

修正申告書(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書(次項において「特定修正申告書」という。)を除く。)の提出又は更正(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者についてされた当該国税に係る更正(同項において「特定更正」という。)を除く。)があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該申告書の提出又は更正により納付すべき国税については、前条第二項に規定する期間から当該各号に定める期間を控除して、同項の規定を適用する。

 その申告又は更正に係る国税について期限内申告書が提出されている場合において、その法定申告期限から一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき その法定申告期限から一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

 その申告又は更正に係る国税について期限後申告書(還付金の還付を受けるための納税申告書で政令で定めるもの(以下「還付請求申告書」という。)を含む。以下この号及び次項において同じ。)が提出されている場合において、その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

国税庁HP「延滞税の計算方法」より

期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除されます。
 また、期限後申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除されます。

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