税務調査に関する基礎知識納税

税務調査による追徴課税を支払えない場合には分割納付を検討しよう。

税務署①税務調査により数年分の追徴税額となってしまう場合には、当然一括で納付することが難しい場合があります。

我々税理士は調査立ち会いにより税額の確定までを業務としている場合が多いですが、

納税者にとっては税務調査終了後の納税についても不安に思う方も少なくありません。

そこで、今回は個人事業者に対する税務調査が実施された後の納税についてご紹介したいと思います。

税務調査に関するご相談

税金を納められない場合の影響

無申告の方や売上除外などを行っている場合、税負担は非常に重くなる傾向があります。

このような場合には最大7年分の追徴税額や付帯税を支払うこととなるため、税務調査が終了した後も徴収担当から納付について厳しい対応を迫られることになります。

もう払えないから自己破産をしてしまえばいいやと考える方もいるかもしれませんが、

租税債務は、非免責債務に該当するため、仮に自己破産をしても免責されず、ついてまわることになります。

金融機関からの融資の可能性

多くの税務調査に立ち会ってきましたが、資金使途が税金納付のための融資は非常に受けづらいのが現状です。

ただでさえ納税資金の融資は長くても半年などの短期が一般的ですし、無申告などの場合には、そもそも申告書類等がなく、納税証明書(未納がないことの証明)も発行してもらえないため、親身に相談にのってくれる金融機関を探すことも困難なケースがほとんどです。

ただし、絶対に融資を受けられないわけではありません。

業績が良好な場合には事業資金として融資を受けられる余地もあります。

事業資金の融資であれば、比較的長めの返済期間で対応してもらえるため金融機関等の担当者と一緒に支店長や本部と交渉し、融資を取り付けられる場合もあります。

税金の納付が出来ない場合の猶予制度

手許資金もなく、金融機関等からの融資も望めず、納期限までに納付できない場合には、督促状の送付などを受けます。さらにこの督促を受けても納付されない場合には、財産(銀行口座や車両など)の差し押さえなどの滞納処分を受けることになります。

滞納処分を受けてしまうと取引先にも迷惑がかかったり、場合によっては仕事も失ってしまうことも考えられます。

このような最悪の事態を回避するための方法として猶予制度が存在します。

猶予制度としては①換価の猶予 ②納税の猶予があります。

②の納税の猶予は一般的には災害、病気等によって納付が困難な場合に利用する制度のため、通常は①の換価の猶予申請を行います。

換価の猶予が認められた場合の効果

未来

換価の猶予が認めらえた場合には以下のようなメリットがあります。

  1. 既に差し押さえを受けている財産の換価(売却)が猶予される。
  2. 差押えにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産については、差押えが猶予(又は解除)される場合がある。
  3. 換価の猶予が認められた期間中の延滞税の一部が免除される。

猶予を受けるためには何をすればよいのか?

換価の猶予を受ける場合には、猶予の申請書を税務署へ提出する必要があります。

申請書には現在の財産状況、収支状況、分割納付計画などを記載し書類を添付する必要があります。

猶予を受けようとする金額により提出する書類が若干違い、担保や保証人の提供を求められるケースもあります。

申請書を提出した場合、税務署は納税者の財産状況などを調査し、換価猶予の許可又は不許可を決定します。

許可がおりた場合には、分割納付計画により納付を行っていくことになります。

※申請が認められる要件としては以下の5つのすべてに該当する必要があります。

  1. 国税を一時に納付することにより事業継続又は生活の維持が困難になるおそれがあると認められること
  2. 納税について誠実な意思を有すると認められること
  3. 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税に滞納がないこと
  4. 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
  5. 原則として担保の提供があること(金額、猶予期間等によっては不要な場合あり)

猶予期間と期間中に完納出来ない場合

換価の猶予を受けることが出来る期間は原則1年の範囲内とされています。

ただし、換価の猶予を受けた後、猶予期間内に完納することが出来ないやむを得ない理由があると認められる場合には、猶予期間延長の申請を行うことが出来ます。

申請が認めらた場合には当初の猶予期間と合せて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められます。

国税以外(住民税・事業税・健康保険)について

個人の税務調査では、所得税、消費税等の国税以外にも住民税、事業税、国民健康保険などの追加の税負担が生じます。

これらについても同じように徴収部門とのやり取りを市役所や県税事務所と行うことになります。(ケースによっては誓約書を記入し申請書類を提出しないこともあります)

一般的には、国税の交渉が終わった後に市区町村や県税などと交渉していくことが多いと思います。

ただし、市区町村によって徴収に温度差があり、早めに差押えに動くような市区町村もあるため、

のんびり構えず、納税が困難な場合には、早めに行動するように心掛けたほうが無難です。

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