税務調査に関する基礎知識

AIが税務調査に及ぼす影響とその効果

最近よく税務調査にAIが導入されているという話が話題に上ります。

先日もお客様からAIがどのように税務調査で利用されているか?また今後どのような税務調査が実施されるのか?について質問を受けたため、その際にお話ししたことをブログで紹介します。

I社長 40歳台前半。個人事業主(一人親方)から法人成りをして現在4期目。

悩み:売上も年々増加し利益も徐々に出てきているがサイトが長い取引先も増えてしまい資金繰りが悩み。また法人成りをしてから5年目で税務調査となった経営者仲間から税務調査の際の恐ろしさを聞いて心配になっている。

I社長
I社長

最近、経営者仲間からAIが税務調査に積極的に利用されていると噂を聞きました。以前、仲間から税務調査に関する恐怖を聞いており、非常に興味がある話題なため、実際にAIがどのように利用されているのか気になっています。

ひらい
ひらい

最近は様々な分野でAIが利用されていますが、税務調査の現場でも利用されていると言われていますし、国税もそれを隠していません。

ひらい
ひらい

AIは過去の申告漏れ事例や膨大な資料を学習し、不正行為や申告漏れの可能性が高い納税者を効率的に抽出し、ターゲットを絞ったうえで調査選定を行っていると言われています。調査官からも税務調査の選定にはAIが利用されており、そこから調査先を選んでいると聞くこともあるほどです。

I社長
I社長

AIは学習していくので過去のデータが積みあがれば積みあがるほど精度が上がってくるのでしょうね。

ひらい
ひらい

そうですね。実際に2023事務年度(2023年7月~2024年6月)の税務調査件数は60万5,077件で、前年度の63万7,823件から約3万件減少したにも関わらず、所得税の追徴税額は2023事務年度で1,398億円となり、過去最高額を記録し、法人税においても、2022事務年度で追徴税額が過去最高の3,563億円に達しています。

つまり、税務調査の深度が各段に上がっていると言えます。

I社長
I社長

なるほど・・・・・。

税務調査の件数は減ったのに税収が増えているのですね。

ひらい<br>
ひらい

そうですね。

更にAIは税務調査だけではなく税務行政全般に利用されてきているため、それだけ国税が税務調査に回せる人員も増加させることが出来るようになると言われています。

ひらい
ひらい

また、国税は内部のシステムとしてKSKシステム(国税総合管理システム)というものがあります。KSKシステムは平成7年(1995年)に試行開始され、平成13年(2001年)に全国運用が開始され、20年以上の運用実績により膨大なデータが貯まっていると言われています。このKSKシステムは現在も運用されていますが、次世代基幹システム「KSK2」の導入が計画されており、令和8年度(2026年)に稼働開始される予定となっています。

I社長
I社長

KSKシステムが新バージョンになるとどんな効果があるのでしょか?

更に厳しい調査になるのでしょうか・・・・?

ひらい
ひらい

まだ導入されていないため、噂レベルの話とはなりますが以下のような目的があると言われています。

  • データ中心の事務処理: 紙ベースの業務からデータベースを活用した処理に移行し、業務効率の大幅な向上
  • 縦割り管理の解消: 税目別に分かれていた情報を統合データベースで一元管理し、横断的な情報確認が可能となり、税務調査や徴収業務が効率化させる。
  • リアルタイムアクセス: 調査官が現場からシステムにアクセスできるようになり、その場で納税者情報を確認可能。調査精度が向上し、不正や申告漏れを迅速に検出できるようになる。
  • AI活用: AIによるデータ分析で、更に申告漏れや脱税の可能性が高い納税者を効率的に判定できるようになる。
ひらい
ひらい

実際にR6年分の個人確定申告の申告会場では従前とはガラッと国税の職員の意識が変わり、ペーパーレス化を職員が意識的に進められており、国税の中でもKSK2のシステム導入に向けた下準備が徹底されていることがひしひしと伝わってきました。

I社長
I社長

インボイス制度の導入も関係していそうですね。

インボイス制度導入時はインボイスの番号をもっていないくても仕事をお願いしていましたが、最近はインボイスを持っていない事業者はとばっちりが受ける可能性もあるため怖くて使えないといった仲間も徐々に増えています。

事業をするうえではインボイスは必須になりつつあるにも関わらず、インボイスの番号を頑なに取らない事業者は裏で何をしているかわからないと考えてしまいます。

ひらい
ひらい

個人的にはKSK2とインボイス制度の導入、強引な電子申告の普及のさせ方はセットだと思っています。

申告書のデータ化を効果的に行い、国税内部のリソースを調査に振り分け、これまで以上に無申告の方や意図的な過少申告は調査してやろうという意気込みを感じています。

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