税務調査体験事例

実際の税務調査で聞かれたこと。調査連絡から終了まで(個人事業主)

ようやく5月申告の目途もたち、7月中旬から始まる税務調査のメインシーズンまで一息つけるなぁと考えていたところ、5月中旬から2週間で6件の税務調査立ち合いのご相談を頂きました。 

相談者様の住まいは草加市、越谷市、春日部市、川口市、川越市、宇都宮市と近隣の方から遠方の方まで様々。

税務署職員

今回は、この6件のうち、1つの事案を例にとり、ご相談の連絡から実際に調査が終了するまでをご紹介したいと思います。

この記事を読んで頂くことにより税務調査開始前から終了までのイメージが出来るようになるはずです。

※本事案は守秘義務の関係上、事実を一部変更したうえ個人特定が出来ないよう匿名かつ概要のみをご紹介することをお客様の同意を得たうえでご紹介しています。

個人事業者の税務調査事例(面談~調査前)

ホームページより税務調査に関する相談についてご連絡あり。

5月13日午前中

弊所のHPをご覧頂き、税務調査に関する相談をしたいとのことでご連絡を頂きました。

電話にて現在の状況をザックリとお聞きし、時間調整が可能であったため、必要資料を午後に集めて頂いたうえ、同日の夕方に弊所に来所頂くことになりました。

ひらい
ひらい

電話では以下のようなお話しを伺いました。

  • お名前、住所、管轄税務署
  • 税務調査の進捗状況
  • 調査官の名前
  • 過去の申告状況
  • 資料の保存状況 など

(1回目)税務調査前ご面談

5月13日 18時~20時半

事前にお話し頂いていた情報より、更に詳しい内容を申告書を拝見しながら教えて頂き指摘されそうな問題点や論点となりそうな箇所を確認。

今回は、ご相談に来る前に、売上等を再度集計した結果、誤りがあったため、ご自身で修正申告をしようと申告書を作成されいたため、併せて修正申告の内容についても拝見しました。 

しかし、作成案では修正内容に多くの間違いがあることが判明。

改めて弊所が税務調査が実施される前に事前に修正申告書を作成し、提出することとなりました。

打合せがご連絡を頂いた当日ということもあり、過年度の資料についてすべてがそろっているわけではなく、お話を聞く中で計上が漏れている経費もあることが判明したため、1週間かけてお客様に不足資料の収集作業をお願いしました

事前通知と調査実施場所の確定

5月15日

税務署に対し弊所より、税務代理権限証書(委任状のようなもの)を電子申告にて提出税務署より連絡があり事前通知(調査範囲等一定の事項を納税者に通知すること。)が弊所に行われました。

ひらい
ひらい

税務代理権限証書の提出が行われた後は税理士が納税者の代理人となるため、その後の税務署とのやり取りは税理士を通して行うことになります。

(2回目)税務調査前ご面談

5月20日 18時半~20時 

お客様には普段のお仕事がありますので、そちらを優先して頂き、お仕事が終わったあとの18時半より面談。

お客様のほうで1週間かけて集めて頂いた資料を拝見し第1回目の面談時に確認できなった内容と合わせて修正申告に必要な事項をお客様と一緒に確認。 

打合せ

また、調査対象期間は3年でしたが消費税の納税義務の確認は行われることが容易に想像できたため、廃棄してしまった5年前の通帳のコピーも追加で取得して頂くことになりました。

事務所での作業

5月21日~5月27日

第2回の面談でも、解消しなかった事項については引き続き、お客様のほうで資料収集を行って頂き、並行して、弊所にて3年分の修正申告書の作成。 

作業を進めていくなかで、調査対象期間外も含め、修正申告書を作成したほうがお客様の負担する税金が軽減されることが判明し、急遽4年分の修正申告を行うこととなりました。 

また、修正申告の作成作業と並行して、申告書・決算書分析を行い、税務調査の際に特に論点となりそうな箇所の確認を行いました。

【3回目】税務調査前ご面談(調査前最終打合せ)

5月30日 18時半~20時

4年分の修正申告についてご報告

修正申告の内容についてご理解頂き、電子申告にて調査前に事前申告を実施。

説明

また、修正申告を行うことにより、増加する所得税・住民税・事業税・健康保険税・予定される附帯税について概算金額のお話しさせて頂き、納税計画についてもお客様と一緒に検討をしました。

予測される税負担額は、お客様の手許資金で何とか完納できる額でしたが、奥様が出産を控えていたこともあり、出産費用関係費用をある程度手許に残す必要もあることから、納税の一部を分納にしてもらうことやビジネスローンなどを検討していくこととなりました。 

最後に、申告書・決算書分析の結果により特に追求されそうな項目を説明するとともに、これまで税務調査立ち会いで聞かれた一般的な質問事項についてご案内し、質問の意図お客様と一緒に確認しました。 

税務調査の記録(開始~終了まで)調査官から実際に聞かれたこととは?

6月上旬 10時15分~

いよいよ税務調査の当日です。 

ほとんどの場合、税務調査は10時から始まりますので、お客様には10分程度前に事務所にきて頂きます。

今回の調査は所轄税務署が少し離れていたため、10時過ぎからの開始となりました。 

調査官は20代若手

戦う税理士

  調査官によっては雑談を30分程度してから質問事項に移っていくのですが、今回は、雑談をほとんどせず、若手の調査官らしくオーソドックスな質問事項を一通りしているなといった印象を受けました。

【実際に調査官から聞かれたこと】

  • いつから事業をしていますか?
  • 事業を始めたきっかけはどのようなことですか?
  • どのような経歴をお持ちですか?
  • 仕事内容はどのようなものですか?
  • どのような場所にいって業務をしますか?
  • 従業員はいますか?
  • 材料などは支給されますか?、それとも自分で購入しますか?
  • 取引先は何社程度ありますか?
  • 決済方法は現金ですか、振込ですか?
  • 請求書はどのようなもので作成されていますか?
  • 仕事の依頼はどのような方法で通知されますか?
  • 外注先は何社程度、何人程度いますか?
  • 外注先に依頼する仕事はどのような業務内容ですか?
  • お休みは曜日などで決まっていますか?
  • 取引銀行はどこですか?その支店は?
  • 業務日誌やスケジュールなどが確認できるものはありますか?
  • 生活費は毎月どの程度かかりますか?
  • 家族構成を教えてください
  • 親族への仕送りなどはしていますか?
  • 奥さんは仕事をしていますか?どのような仕事ですか?
  • 奥さんの年収はどの程度かご存知ですか?
  • お金の管理はだれがしていますか?
  • 交際費が多く上がっていますがどなたといっていますか?
  • 確定申告書はだれが作成していますか?  など。 

一通り質問が終わったあと、税務調査実施前に提出した修正申告について、どのように作成が行われたかを確認されました。 

そこで、修正申告に至った経緯や当初申告が誤った数字を集計していた経緯などを詳細に説明。 

上記の質問事項等は1時間程度で終了し、その後、調査官は直近の修正申告書と根拠資料の確認を30分ほどかけて行っていました。

この時点で11時50分。

一般の税務調査は12時から13時はお昼休憩になります。

そのため、いつもお昼のタイミングで今後のスケジュールなどを確認します。

今回は、調査の流れや調査官との雑談などから早めに臨場調査自体は終わる可能性があるのでは?と考えていましたので、私のほうから調査官に午後のスケジュールと早めに終わることが可能かどうかを確認してみました。 

すると、調査官から「今回は、調査前に先生にしっかり数字を確認していただたうえで修正申告を行って頂いていることが確認できましたので、可能であれば、お昼休憩はなしで外注先等について、あと30分だけ確認して終わりたいと思います。との話がありました。

そこで、急遽お昼休みはなしとして、30分間作業を続行して頂き、臨場調査自体は終了となりました。

( 臨場調査の終了:1230 )

調査官を観察することも重要

私は調査終了後の折衝の際、調査官と色々雑談をします。

雑談により、調査官は納税者の状況を確認していますが、それは何も調査官に限ったことではなく、こちらも確認したいことがあるからです。

例えば、何が問題視されて税務調査が行われたのか?ということです。 

  調査官は統括官などの上司から調査事項について指示を受けている場合が多く、その指示事項は調査官にとって宿題事項ともいえます。 

この宿題事項が解決されない限り税務調査は終わりません。

税務調査は、調査を受ける側にとってストレス以外の何ものでもなく、早く終われせるに越したことはありませんが、実は意外にも調査官も一緒です。 

調査官には調査件数のノルマがあります。 

そのため、ノルマ達成のため、あまり問題がない納税者については時間をかけていられないのです。 

早期に調査が終わることは、お客様、調査官双方にとって唯一利害が一致する事項なのです。

参考ブログ:税務調査に選ばれた理由を考えることはとても重要

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