さいたま市は当事務所がある越谷市と隣接しているため、顧問先様の数も比較的多く、
金融機関や顧問先様のご紹介などにより、よくお仕事をさせて頂く地域でもあります。
そんな経緯もあり、ご紹介によりさいたま市浦和区在住の個人の方(不動産賃貸業)からの税務調査に関するご相談と税務調査立ち会いさせて頂きました。
※本事例はご本人の承諾のうえ、匿名かつ概略のみとし、事実関係を一部変更したうえ紹介しています。
税務調査に関するご相談はこちら
相談者様の状況
相談者の方は、サラリーマンをしながら副業として不動産投資をしており、順調に投資物件を増やし、
アパートと貸家を数棟所有。最初の物件を購入してから、6年目に税務署より税務調査を実施したい旨の連絡を受けたとのことでした。
確定申告書については、物件を購入した初年度だけは、さいたまスーパーアリーナで行われる確定申告無料相談会場で、相談員に作成方法を教えてもらいながら作成。
その後は、当初作成した確定申告書を見本として同じような方法で自分で確定申告を行ってきたとのことでした。
税務調査の選定理由と問題点
面談をする際、確定申告書と関係資料を拝見させて頂きますが、
個人の税務調査であれば、法人の税務調査とは異なり、
ほとんどのケースで申告書上にある問題点やなぜ税務調査に選定されたのかという理由が想像つきます。
本件が税務調査に選ばれた理由
税務調査に選定された理由については、調査官に聞いても教えてくれません。
しかし、個人の税務調査の場合、選定先として選ばれている確定申告書は以下のような分類で大別できます。
(あくまで私の経験上の話ですが・・・)
- 売上が1千万円弱
- 同種事業の同程度の売上がある方に比べて明らかに所得が低い
- 確定申告書の内容が明らかに間違っている
- 税務署内部で補足している情報による調査(無申告や売上除外が濃厚)
- 不正が多い業種や好業績業種
- 所得金額が数千万円の富裕層
【本件が税務調査の対象に選ばれた理由とは?】
今回は購入物件のすべてが耐用年数を超過したアパート及び戸建でした(いずれも木造)。
中古耐用年数について簡便法を選択。早期に多額の減価償却が行われており、
その結果、所得金額が極端に少なかったこと及び確定申告書の一部が誤っていたことが
税務調査先として選定された理由と思われました。
本件の問題点
確定申告書や収支内訳書を拝見させて頂くなかでいくつか問題がありましたが、
税務調査で指摘を受けそうな点は以下のようなことでした。
土地・建物の按分
物件を買い進めていくことを念頭としていたため、キャッシュフローを重視し、早期に減価償却を実施することを意識するあまり、土地と建物の按分に問題があった。
また、購入時の仲介手数料や固定資産税の精算金についても全額を必要経費に算入しており、修正が必要な状態。調査官も物件購入価格について確認するために契約書の提示を求めてきましたので、問題意識をもっていた。
火災保険
数年分をまとめて支払っているような場合には期間按分を行う必要があるが、支払った年に全額が必要経費に算入されていた。
家事按分
車両の減価償却や交際費など、家事按分が必要なものが全額必要経費に算入されていた。
無料相談会場等で作成した確定申告書は正しい?
個人の方で税理士へ申告書の作成依頼をしている方は割合としては少なく、多くの方は無料相談会場等で作成していると思います。
私自身も確定申告時期になると商工会、青色申告会、確定申告会場などから相談員の依頼があり、担当することがあります。
ただ、そのような際には1日何十人という相談者が訪れるため、数字の記入方法についてはアドバイスを行いますが、中身を詳しくチェックすることは出来ません。
しかし、納税者としては、相談員の方に聞いたので間違いがなく、税務署が受け取り、その後に間違っているとの連絡もないことから、問題なく確定申告が行えていると考える方が多くいます。
本件でも、最初の物件を購入し、さいたまスーパーアリーナの確定申告無料相談会場で教えてもらった土地・建物の按分方法に問題がありましたが、何年も確定申告書を提出してきた中で税務署から何も指摘がなかったことから、問題がないと思っており、いざ税務調査といわれ多額の税負担が発生する可能性があることに困惑されている状態でした。
税務調査の結果とその後の節税対策
税務調査の結果
上記の問題点を把握したうえで事前に修正申告を提出していたため、
調査当日(臨場調査)は10時から始まり、1時間ほど調査官から質問を受けた後、
修正内容について、私のほうから説明をさせて頂き、11時30分には終了となりました。(その後2日後には調査終了の連絡がありました)
調査の開始こそ、調査官から「一日調査をさせてもらってよいか?」と聞かれたものの、スピード決着となった事案でした。
調査後の節税対策
物件取得から6年経過していたこともあり、所有物件の多くが未償却残高もわずかで減価償却の金額も年々減少し、
税負担も今後どんどん増加していき、融資の返済が苦しくなっていく「デットクロス」の段階に入りかけていた状態でした。
税務調査も問題でしたが、どちらかといえば、この「デットクロス」の状態のほうが問題であったため、
デットクロス状態の緩和方法を検討し、出口を見据えたうえで法人を設立し、物件(建物)の一部を移すことにより税負担の軽減を図ることになりました。
ご本人としては、「税務調査はすごくストレスだったけど、結果として、今後の不動産投資の問題点をクリアに出来たことも考えると、
前向きに捉えることができるようになりました。」とおっしゃっていたことがとても印象的でした。
税務調査のご相談について
自分の状況を話すことは出来れば避けたいことです。
ただ、税務調査は時間との勝負です。行動を起こさなければ何も変わりません。
まずは、勇気を少しもって電話1本してみましょう!!
ひらい税理士事務所では蓄積した知識と経験からのアドバイスを行います。
少しの勇気があなたの今後を大きく変えるかもしれません。
ひらい税理士事務所
埼玉県越谷市蒲生寿町15-37 2F
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