税務調査では、申告内容に誤りがないかを確認するために、あらゆる情報が調査対象になります。調査官が事業者の自宅や事務所を訪れる「実地調査」が基本とされているのは、これらの場所に重要な資料やデータが集中しているためです。
近年では、情報の中心がパソコンやスマートフォンに移り変わってきており、LINEやSNSといったツールも業務の中で頻繁に使われています。そのため、税務調査ではスマホのデータの確認を求められるケースが増えています。

スマホのみで完結するビジネスが増加している。
特に個人事業主の中には、パソコンを使わずスマホだけで取引や業務を完結させている方も増えています。
スマホがパソコンと同等の業務ツールとして使われるようになってきたことから、スマホに取引の履歴や連絡の記録が残っていることも多く、税務調査の際にスマホ内のデータの提示を求められることが多くなっています。
原始記録の確認が税務調査の基本
税務調査では、申告書の作成のもととなる領収書、請求書、納品書など、いわゆる「原始記録」の確認が基本です。しかし、これらの書類だけでは判断が難しい場合、納税者の了承を得た上で、パソコンやスマホ内のデータも調査対象となります。
デジタルデータには作成日や更新日時が自動で記録されるため、不正の痕跡が残っていることがあるからです。
LINEやSNSも調査対象になることがある
近年は、LINEやInstagramのDM、Facebookメッセンジャーなど、SNSを使った業務連絡手段を利用している個人事業主も少なくありません。また、LINEで業務依頼を行ったり、LINEのカレンダー機能で業務管理をしているケースもあります。
こうした場合、税務調査では実際の業務実態を把握するために、LINEなどで行った履歴の提示を求められることがあります。
若手調査官はスマホやSNSに強い
通常、税務調査ではベテラン調査官の方が経験豊富で対応が厳しいとされますが、スマホやLINE、SNSに関しては若手調査官のほうが圧倒的に詳しい傾向にあります。
筆者の経験でも、20代〜30代前半の調査官はスマホ機能に精通しており、納税者自身が把握していないスマホ機能をもとに、売上を正確に復元したケースもありました。
SNSを利用した商売には、若手のほうが理解が早く、鋭く対応することがあります。
LINEのやり取りは復元されることもある
税務調査の現場では、LINEの履歴を復元するケースもあります。所轄の税務署には復元機器は備わっていないことが多いようですが、国税局には専用の復元機器が存在し、必要に応じてデータの復元を行います。
【税務調査の実例】
ある一人親方のケースでは、外注費を現金で支払った相手の一部が架空の人物である疑いがありました。納税者は「LINEでしか連絡していなかった」と主張しましたが、LINEのトーク履歴はすでに削除されており、税務署が復元を試みたものの記録は見つかりませんでした。結果として、該当する外注費は経費として認められませんでした。
スマホやLINEのデータ提示は強制なのか?
通常の税務調査は「任意調査」と呼ばれますが、これはあくまで形式的なもので、調査官には「質問検査権」という法的権限があり、納税者には「受忍義務」があります。
したがって、調査官からスマホやLINEの業務関連データの提示を求められた場合、原則としてそれに応じなければならないのが実情です。
LINEのデータを活用することもあり
税務調査の相談業務を行っているとよく資料を紛失してしまっている方がいます。
このような場合にはLINEの履歴を確認しながら復元し、根拠を求められた際に提示をするという方法もあります。
まとめ
税務調査では、帳簿や領収書などの紙ベースの資料が基本ですが、それだけでは判断がつかない場合には、スマートフォンやLINE、SNSといったデジタルデータも確認される可能性があります。
特にスマホを業務の中心にしている場合、その中にある取引記録ややり取りの内容は調査対象となることを覚えておきましょう。
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