新型コロナウイルスが税務調査に与えている影響

 

令和3年9月現在、ワクチン接種率は日々上昇しているものの、デルタ株の影響により新型コロナウイルス新規感染者数も高止まりの状況が続いており、関東地方においては9月12日まで東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県とほとんどの地域に緊急事態宣言が発出される事態となっています。

 

このような状況のなかで税務調査がどのようなに実施されているのか、また今後はどのように行われるのか(私見)をご紹介したいと思います。

 

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令和3年9月1日現在の税務調査実施状況

例年、7月・8月は税務署の人事異動が行われる7月10日前から税務署より納税者へ税務調査に関する事前通知がされることから、弊所では税務調査に関するご相談を一番多く頂く時期です。

しかし、今年度については数件のご相談を頂いてはいるものの、件数自体は例年に比べ非常に少ないのが現状です。

そのため、本当に必要性が高い事業者のみに税務調査に関する事前通知を行っていると考えられます。

 

【参考】:調査官(統括官)との会話で聞いた話

通常は税務調査日時の調整は調査官とのやり取りになるのですが、臨場予定の調査官が濃厚接触者となり、出社出来なくなったため統括官から事情説明として連絡がありました。その際、現在の税務調査に関する方針について質問したところ以下のような回答がありました。

「今年度についてはコロナの影響により調査件数を絞って行っており、特に緊急事態宣言が発出されてから原則新規着手はしていません。ただ、緊急事態宣言前に連絡を行った納税者については日程調整を行いながら税務調査を実施する方針です。」

 

臨場時の調査手法

今までの税務調査と大きく異なっている点は臨場時における調査官の人数です。

通常、個人事業主への調査の場合ですと原則1人。まだ経験が浅い調査官だと2人というのが一般的です。

しかし、コロナ禍の税務調査では時間短縮を目的として、2人で伺いますと言われることが多いように感じています。

また、「留置き」(調査官が申告に関係する資料を税務署へもって帰ること)を依頼される割合が多いのも特徴です。

通常時であれば、臨場時に資料を確認しながら時間的な問題で一部留置きをが行われることはありますが、それほど多くありませんでした。しかし、最近のコロナ禍の税務調査では、臨場前の事前通知の段階で時間短縮を理由に「留置き」の依頼をしてくる場合もあったほどです。

 

今後、税務調査はどうなるのか(私見)

今年度の税務調査について考えるうえで、同じくコロナ禍であった昨年度の税務調査の実施方法は非常に参考になります。

昨年度は9月まで新規着手の税務調査がほぼ行われない状況でしたが、10月から12月までの約3カ月間は再開されていました。

そして昨年度の再開が決定された令和2年9月という時期ですが、これは第2波が落ち着いた時期でした。

この3カ月間の調査件数についてはまだ統計的なものは発表されていませんが、弊所でも税務調査の相談件数が通常時の倍以上となったことからも、3カ月間だけは通常時よりも多くの税務調査が実施されたと推測しています。

このことから、税務調査再開の時期は第5波が落ち着き、緊急事態宣言が解除された後に、短期集中で大幅に税務調査を増やして行われることが予想されます。

特に令和2年の申告はコロナ関連の給付金を受けるために、過去に無申告だった事業者や売上除外などを行っている事業者も一定数いるものと思われます。

このような情報を税務署が注目しないはずもなく、今後は重点的に調査選定先として挙がってくるのではないかと考えています。

 

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