アフターコロナの税務調査

令和2年は新型コロナウィルスの影響により、全国一律所得税等の申告期限延長から、実質申告期限の撤廃、納税が困難な方に対する納税猶予など異例の措置が取られました。

そして、申告期限や納税に関する異例な措置に加え、例年と大きく異なることの1つが「税務調査」です。

今回はコロナ禍により大きく影響を受けている税務調査について、現在の状況とアフターコロナの税務調査についても考えていきたいと思います。

税務調査に関するご相談

 

現在のコロナ禍における税務調査

コロナによる税務調査がどう変わっているのか、

また、国税庁は税務調査をどう考えているかを以下で紹介します。

 

税務調査が中止

個人の税務調査は2月から4月中旬ぐらいまで確定申告期間であるため、税務署も新しく税務調査を行うことは稀です。

しかし、法人の場合、税務調査の連絡が来ます。

今年も、顧問先様の税務調査について税務署から連絡が1月初旬にありましたが、我々税理士も1月から3月15日は確定申告期間のため、3月15日の確定申告期間が終わってからの実施をお願いし納得してもらっていました。

そこへ、今回のコロナ禍。。。。

なんと、担当税務署から連絡が来て、税務調査が取りやめになったのです。

今まで、そのようなことは一度もなく初めての経験だったため、思わず担当者の方に「延期ですか?」と聞いたところ、「中止ということで捉えて頂いて結構です」とのこと。

最初はそんなこといって、また連絡がくるのでは?と思っていましたが、未だに連絡はなく、本当に中止になったようです。

 

税務調査についての国税庁の当面の方針とは?

例年であれば、確定申告期間が落ち着いた後は7月10日の人事異動まで調査期間になります。

近年では6月中旬から7月上旬までに人事異動後の調査予約が入るようになっていましたが、今年はありません。

仲間の税理士に聞いても調査連絡がきたという声は聞こえてきません。

税務調査は一般的には1日~3日間程度の長時間、会議室という密室で行うため、三蜜の典型といえる行為です。

そのため、感染予防のため、当面は本当に必要な税務調査以外は自粛しているようです。

参考:税務通信による取材記事抜粋

  • 令和2年3月16日から4月16日は原則、新規調査に着手しない方針であった。(真に必要なものを除く)4月16日を過ぎても後も基本的には対応は大きく変わらないことを国税庁は各国税局等に改めて対応方針を連絡しているようだ。(5月18日号・6月22日号)
  • 定期人事異動の時期を迎えた後も緊急事態宣言解除後でもコロナ禍よりも前に行われていたような調査の規模や量になるのは考えにくい。(5月18日号)
  • 当面の基本的な調査方針(5月18日号・6月22日号)

① 納税者の個々の事業等を十分考慮

② 納税者の明確な同意があれば調査を実施(所得税、法人税、消費税、相続税等で同じ対応)

  • テレワーク時の調査対応(6月1日号・6月22日号)

① テレワークを実施している企業に対しては当面、調査対応のためだけに出社を求めることは想定しておらず、出社日程等に合わせてスケジュールを調整

② オンライン税務調査の導入は現時点ではなく、感染拡大防止策をとったうえで従来どおり対面での税務調査を行う

 

コロナ後の税務調査はどうなるか?

給付金の不正受給

持続化給付金についてはびっくりするほど簡単な手続きで個人事業主は最大100万円。法人は最大200万円を受給できます。

本来、一般的な給付金や補助金は貰うためには手続きに様々な書類を提出し、受給後も報告書の提出や立ち入り調査などがあります。

しかし、今回の持続化給付金については世論もあり、とにかく手続きを簡素化してスピーディーに給付して、その後に不正受給を取り締まるという方針です。

そのため、最近では制度を悪用した不正受給による詐欺事件が多発しています。

新聞記事を読んでみると、この不正受給で共通していることがあります。

それは期限後申告です。

申請には税務署の収受印が必要になっています。

昨年度の申告を期限内に行っている方は、持続化給付金が貰えるなんて考えもしていないのでしっかり申告書を作成していると思います。

しかし、持続化給付金の受付が開始された5月以降に提出されている申告書は、不正率が高いのかも知れません。

巷では、持続化給付金の担当省庁である経済産業省と財務省(国税庁は財務省の一機関)は仲が良くないので大丈夫なんていい加減な都市伝説的な話が聞こえてきますが、詐欺で立件している以上、横の繋がりはあると思います。

持続化給付金の申請に使われた売上台帳と前年確定申告書をチェックし、お金の流れや売上額を確認するには税務調査はうってつけです。

現在は税務調査自体が少なく、このあたりは推測の域をでませんが、今後、税務調査が本格的に開始された後は不正受給分の返還なども多発するのではないかと考えています。

 

アフターコロナの税務調査を考えてみる

毎年、国税庁は各国税局ごとに税務調査により不正発見割合が高い業種というものを発表しています。

以下は東京国税局が発表している現在最新(平成30年)の不正発見割合が高い10業種です。

不正割合が高いということはそれだけ税務調査の対象として選ばれやすいわけです。

前年比較をみても1位から4位は順位こそ入れ替わりはありますが、常連の業種といえると思います。

しかし、この常連の業種と10位のホテル・旅館を合わせた5業種はご存知の通りコロナ禍により大変なダメージを受けており、不正を行う余力もない状態である事業所が多いと思われます。

例年であれば、重点調査業種として調査先に選ばれることが多いと思いますが、コロナ禍後、当面売上が回復しないことも考えると別の業種が調査選定先として選ばれることが予想されます。(例えば、業況がよかった業種は翌年度に重点調査対象に選ばれることを考えるとコロナ禍により売上が上がった業種や影響がなかった業種はより税務調査に選ばれやすくなるかもしれません。)

または、持続化給付金の不正受給が疑われる事業所への重点調査なんてことも考えられるかもしれません。

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