一般的に個人事業主に対する税務調査は1%程度で法人の税務調査率の3%に比べ少ないと言われています。
そのため、税務調査に来るのは一部の儲かっている事業者や富裕層だけで自分には税務調査は縁がないと思い、確定申告書にいい加減な数字を書いたり、売上の一部を除外して確定申告してしまう個人事業主の方が大勢います。
しかし、税務署は内装業、塗装業、設備業、大工などの一人親方を税務調査の対象として選定することが多く、重加算税など多額の追徴課税がされ、とんでもない目に遭う個人事業主の方が毎年たくさんいます。
今日は、今まで多くの一人親方の税務調査に立ち会ってきた経験から、「一人親方が税務調査で税務署から目をつけられる5つのポイント」をご紹介したいと思います。
税務調査に関するご相談
売上を抜いていないか?売上の年度ズレがないか?
一人親方の税務調査で最も確認されることは、「売上の計上漏れがないか?」です。
元請への請求書や通帳の入金状況を確認し、金額が大きかったり、現金決済の場合には個人事業主本人だけでなく、取引相手にも反面調査を行う場合があります。
また、売上金額が入金している時点で売上を上げている場合も多く見受けられます。
この場合には、意図的ではないにしろ、調査対象期間の最後の1~2か月程度の計上が漏れていることになります。
消費税逃れをしていないか?
個人事業者で調査対象に選ばれる方のうち、売上800万円台から900万円台が多くを占めています。
これでピンときた方はなかなかです。
そうです。消費税を納める必要がでてくる基準です。
例えば売上高900万円台の人であれば売上が一つ漏れていれば1000万円を超えるかもしれません。
売上が900万円ぐらいで何年も上下しないような確定申告書であれば、「もしかして売上を一部抜いているのでは?」と考えられてしまうのです。
このように消費税を逃れるため、売上を除外してしまっているケースにたくさん出くわしてきました。
消費税を逃れるために売上を除外しているようなケースでは、所得税は重加算税対象とされ、消費税は無申告加算税が賦課されるなど厳しい対応になることが多いため注意が必要です。
給与と外注費の区分は適切か?
建設業に携わる個人事業者に対し税務調査が実施される場合、給与か外注費についても重点チェックポイントの一つとなります。
特に近年では、社会保険の加入が現場に入れる条件になっているケースもあり、社会保険を負担することを嫌い、従業員を外注へ移行することが多くなっています。
更に、給与を外注費へ変更した場合、消費税の納税についても有利に働くケースがあるため、消費税の負担を少なくするため、従業員から外注先へ変更することもあります。
しかし、そんなことは税務署もしっかり分かっています。
そのため、税務調査では外注費扱いになっているものを給与扱いにしたがります。
給与と認定されてしまった場合、源泉所得税の徴収・納付漏れ、消費税負担増と税負担は非常に重くなってしまいます。
給与と外注の区分は、非常に曖昧であり、いくつもの要素により総合的に判断されます。
特に今まで従業員だった方を外注にした場合には、しっかり確認されると考えておいたほうがよいでしょう
事業専従者に対する給与は経費に入れてよいか?
配偶者などの親族に対する給与も重点チェックポイントです。
所得税は所得が多くなれば多くなるほど税率が上昇します。
そのため、事業で利益が出る場合、税負担を下げるため親族へ給料を支払い、税金の負担を下げたいと考えることは至極当然のことです。
しかし、税務署も所得分散効果を理解しているため、個人の税務調査で争点にするわけです。
親族への所得分散効果は大きいため、親族へ給与を税務調査で否認された場合、そのダメージも深刻なものとなってしまいます。
配偶者や生計一親族が事業に専従しているかどうかは、事業者に立証責任があるといわれているため、税務調査に備え、要件を確認しておくことも重要な税務調査対策となります。
個人事業者が家族に給料を支払う場合に気を付けたいこと(税務調査対策)
事業経費と家事関連費の区分は適切か?
事業経費と家事費の区分もチェックされるポイントです。
定期的な休みは、一人親方の税務調査以外でも、個人の税務調査において必ず確認されます。
その意図は、事業経費と家事関連費を区別する1つの基準となるからです。
例えば、ファミレスなどの領収書が定期的な休みしか出てこないような場合は、家族での食事が疑われます。
また、一人親方の場合、自宅の一部を事務所として利用している方が多くいますが、事務所の利用割合も問題となります。
事務所での作業内容や利用スペースについてもしっかり説明が出来るようにしておきましょう。
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