インボイス制度

税務調査後の初めての確定申告には注意が必要(消費税の計算方法)

ようやく個人の確定申告期間も終わったものの、4月中旬ぐらいから、税務署の異動がある6月中旬ごろまでの2か月程度は税務調査の時期となります。

この調査時期の前(4月上旬ごろ)は提出した確定申告についての問い合わせがくる場合があります。

特に令和5年の確定申告は10月から開始したインボイス制度により、多くの間違いが予想され、かつ、調査官も初めての対応となるため混乱が生じそうです。

先日、令和5年度に税務調査の立ち合いを行い、令和5年分の確定申告も対応させて頂いたお客様について税務署より消費税についての問い合わせがありました。私自身もこんなことがあるんだなぁと思った事案でしたのでご紹介したいと思います。

【事案】個人事業主Hさん

・令和5年に過去5年間の税務調査が実施。調査により過年度の売上が漏れており、過去の売上がすべて1千万円を超えることが判明。 

・令和5年の消費税の申告は原則課税方式にて申告

・Hさんは調査前に消費税について届出を提出した記憶がなく、令和6年1月上旬に税務調査終了後、簡易課税制度選択の届出書を提出(令和7年から簡易適用予定だった。)

調査官
調査官

Hさんの消費税について確認をさせて頂きたく連絡をさせて頂きました。

消費税申告書が原則課税にて提出されていますが、簡易課税選択の届出が提出されておりますので、修正申告を行って頂く必要があります。

ひらい
ひらい

簡易課税選択届出書は令和6年1月に提出していますので令和5年・6年は原則課税ではないでしょうか?

調査官
調査官

いえ、こちらが確認できる情報では令和5年3月に適確請求書発行事業者の登録申請書と同時に簡易課税選択届出書が提出されています。

その際に「所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第51条の2第6項の規定」のチェック欄にチェックがついており、令和5年から簡易課税制度を選択すると記載されています。

ひらい
ひらい

そうですか・・・・。

Hさんは提出している記憶はないとのことでしたが提出がされているですね。

ただ、Hさんは税務調査により、令和5年の基準期間である令和3年の課税売上は1千万円以上となることから「所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第51条の2第6項の規定」には該当しないのではないでしょうか?

所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第51条の2第6項の規定」はインボイス制度による特例ですから、そもそも課税事業者である場合には適用できない気がします。

調査官
調査官

・・・・・。

確かにそうですね。

署内で再検討をしてみます。

ひらい
ひらい

よろしくお願い致します。

因みに合わせて簡易課税がいつから適用になるかも検討をお願い致します。

Hさんとしては、なるべく早めに簡易課税の適用を受けたいと思い選択届出書を提出をしているとは思いますので。

調査官
調査官

承知しました。

簡易課税の適用時期についても合わせて署内にて検討致します。

~ 後日 ~

調査官
調査官

返答が遅くなり申し訳ありませんでした。

署内で検討した結果、先生がおっしゃっているように

Hさんは税務調査により、基準期間の売上が1千万を超えており、そもそも課税事業者であるため、特例の対象とはなりません。

また、簡易課税についても令和5年中に選択届出書が提出されていることから令和6年から適用を受けて頂いて構いません。

ひらい
ひらい

そうですか。

税務調査があり、基準期間の売上が増加することにより「所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第51条の2第6項の規定」の特例にも影響が生じることがあるんですね。税務調査があった年の確定申告は簡易課税選択届出書をしっかり確認する必要がありますね。今回は勉強になりました。

調査官
調査官

こちらこそご指摘を頂き有難うございました。

それでは修正は不要ということでよろしくお願い致します。

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