税務調査に関する基礎知識

個人事業主の税務調査は何年遡り調査されるのか?時効は何年か?

税務署①個人事業主の税務調査相談に対応をさせて頂いると必ず質問されることがあります。

その質問とは「一体、何年分が税務調査の対象になるのか?時効は何年か?」ということです。

税務署から事前通知がされた場合、通知書に対象期間の記載があります。3年間と記載されていることが一般的です。

そのため、事前通知書に記載されている3年間だけが税務調査の対象期間であると考える方が多くいらっしゃいます。

 

しかし、この3年間というのはあくまで税務署が当初予定している対象期間です。

対象期間となる3年間で指摘事項があり、3年より前も指摘事項がありそうな場合など5年間。不正行為などが疑われる場合だと7年間が対象となります。

 

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一般的には遡及期間と時効は5年間

税務調査は何年調査対象期間として遡るのか?という疑問とご相談者の方が考える時効の疑問を理解することはほぼ同義です。

 

税務署が「あなたの申告は間違っているので直してください・直します。」といえる権限がある期間が税務調査の対象期間に自ずとなりますし、それが時効という表現になるわけです。

 

上記の権限を専門的には「更正決定等」といいます。

 

この「更正決定等」が出来る期限というものは法律(国税通則法70条)により原則、法定申告期限より5年間と定められています。

 

そのため、税務署も原則として法定申告期限よりも5年より前の年度に指摘事項を発見したところで更正決定等を行うことが出来ません。

 

ゆえに税務調査で遡る期間は法定申告期限より5年以内のものとなるわけです。

 

(参考)国税通則法第70条1項

次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から5年(第2号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、3年)を経過した日以後においては、することができない。

一 更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)

7年間遡られるときもある

個人事業主の税務調査で対象となる期間は原則5年という話を上記でしましたが、例外があります。

それは偽りその他不正行為があった場合で、7年間遡ります。

 

この「偽りその他不正行為」とは一体何か。実はこの定義については明らかにされていません。

重加算税の対象となる場合は「仮装又は隠蔽行為」があった場合ですので、「偽りその他不正行為」とも異なります。(非常に似てはいると思いますが・・・)

 

調査官によっては「重加算税の対象となったのだから、遡及も7年間しますよ?」という方もいますが、実際には同義ではないはずです。

 

(参考)国税通則法第70条4項

次の各号に掲げる更正決定等は、第1項又は前項の規定にかかわらず、第1項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。

一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等 

 

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