税務調査が終わった後は納税手続きが待っています。
お金を貯めてあった方は良いのですが、大半の人は、日々の生活で消費してしまっています。
お金がないから仕方がないですね・・・・とはならないのが税金の世界です。

以下では税務調査後に待ち構えている納税手続きと対応策についてご紹介をします。
税務調査後の流れ
生きた心地がしなかった税務調査もようやく終わり、ホッとしたのも束の間、今度は税金の払いが待ったなしでやってきます。
追加の税金を手許資金で支払える場合は良いのですが、支払うことが出来ない場合には滞納状態となります。
税務調査後から税金を滞納すると
- 加算税の通知が届く
- 延滞税が発生(完納した分)
- 督促状が届く
- 財産の差し押さえの勧告
- 財産の差し押さえ
という順番で進んでいきます。
差し押さえの対象となるのは銀行預金、不動産、車などの動産、得意先に対する債権(売上債権)、給与などです。
サラリーマンの場合には給与の差し押さえがされてしまい、会社に知られることとなりますし、自営業者の場合、口座凍結や売上債権の差し押さえがされてしまえば商売の継続に関わる死活問題に発展します。
さらに差し押さえられた状態で払うべき税金を支払わないと、競売にかけられ、未納の税金に充当されることになります。
税務調査後の納付はどうすればよいのか?
税金の未納状態は非常に危険な状況ですので、放置せず対応策を検討する必要があります。
税務調査後の納税対応策についてはいくつかのパターンに分かれると思います。そこで以下では置かれている状況別にどのような対応を取ればよいかをご紹介します。
納税額を支払うことが可能な場合
延滞税の金利は9%弱で、しかも経費にはなりません。
延滞税がかさむ前に完納してしまったほうが良いでしょう。
付帯税までは手が回らない場合には本税だけでも支払いましょう。
お金はないけど処分可能な不動産等がある場合
不動産や車を処分して納税をすることもあります。
ただし、分割で納付をする場合には税額によっては不動産を担保に入れる必要があるため、早めの対処が必要となります。
不動産を処分する場合には徴収部門に売却予定であることを間違いなく告げておきましょう。
納税額を手許資金と借入で対処することが可能な場合
手許資金と借入で税金を支払うことが出来る場合も延滞税がかさむ前に支払ってしまったほうが良いでしょう。
税金のために金融機関から融資を受けることは非常に厳しいですが、可能性がないわけではありません。
弊所でも過去に何度か金融機関からの融資で乗り切れたケースはあります。
また、一時的に親族や友人からお金を借りる選択肢もあると思います。

金融機関から融資を受けられるケースとしては、事業自体が上手くいっており、金融機関としては今後取引が望める場合です。ただ、金融機関からするとかなり難しい稟議になるため、担当者だけではなくその上司(出来れば支店長など)も巻き込みたいところです。
換価猶予の申請をしたうえで分割で納付を行っていく場合
換価猶予という制度を利用することも一案です。
換価の猶予が認められると財産の差し押さえが猶予され、原則として1年間(延長で更に1年。計2年)は差し押さえをまってくれます。
換価猶予が認められている期間は分割で納付することになります。
分納額については税務署、市役所、県税事務所など、役所ごとに納税の計画について書面を提出し根気強く話をする必要があります。

換価猶予申請については法律的には1回の延長が認められています。
そのため、納税者サイドから延長申請を行えるのは1回のみです。
そういった意味では表向き2年間が猶予期間となります。
ただ、実務上は2年で完納出来ない人も大勢いるため、2回目の延長からは税務署サイドが職権で猶予を行っていくことになります。
納税者サイドで申請をすることは出来ずに税務署が決めるといったところに大きな違いがあります。
猶予申請書の書き方は意外に難しいため、事業の収支予定や生活費を概算計算して徴収部門に相談にいくと良いでしょう。
【参考:換価猶予に関する条文】
国税徴収法 第151条 換価の猶予の要件等
税務署長は、滞納者が次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき国税(国税通則法第46条第1項から第3項まで(納税の猶予の要件等)又は次条第1項の規定の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、1年を超えることができない。
一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。
二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき
地方税法 第15条の6 申請による換価の猶予の要件等
地方団体の長は、職権による換価の猶予によるほか、滞納者が当該地方団体に係る地方団体の徴収金を一時に納付し、又は納入することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が当該地方団体の徴収金の納付又は納入について誠実な意思を有すると認められるときは、当該地方団体の徴収金の納期限から当該地方団体の条例で定める期間内にされたその者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その納付し、又は納入すべき地方団体の徴収金(徴収の猶予を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。
まとめ
税務調査により、追加発生する税額が多額の場合には納付についても考えていく必要があります。
特に自営業者の場合には取引先にも迷惑が掛かることもあるため、差し押さえ通知などがきたら、払えないからといって無視はせず、真っ先に対応したいところです。
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