新型コロナウィルスの新規感染者数も日々減少し、日本各地に出されていた緊急事態宣言や蔓延防止措置が9月30日をもってようやく解除されました。
解除が行われる2日ほど前の9月28日ごろから、弊所のHPのアクセス数やお問合せの件数から止まっていたと予測される税務調査について連絡が開始されたものと思います。
そこで、今回は初めて税務調査を受ける方向けに「税務調査で絶対いやってはいけないこと」を3つに絞ってご紹介したいと思います。
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調査官に対して高圧的な態度を取る・非協力的な態度で臨む
税務調査で臨場する調査官に対して高圧的な態度を取る方が稀にいます。
調査官の中には性悪説で物事を聞いてくる方が一定数いるため、調査が進んでくると失礼なことを聞かれて腹を立てる方が少なくありません。
しかし、税務調査中に調査官に対し喧嘩を吹っかけてみても物事が好転することはありません。
非協力的な態度も同様です。
調査協力が得られない場合には、反面調査を実施されて税務調査が取引先などに拡大する可能性もあることを考えておく必要があります。
また、税務調査では調査官から多くの質問がされます。
質問の中には答えにくいことや頭にくるような質問をされることがあります。
しかし、質問には意図があり、返答次第で税負担が大幅に増加することがあることを肝に銘じ冷静に対応をすることが重要です。
腹が立っても喧嘩腰になったり高圧的な態度を取るのではなく、冷静に抗議し、主張すべきことはしっかりと主張しましょう。
資料を隠したり廃棄する。
通帳や請求書、領収書など資料がなければ調査のしようがないだろうと考え、資料を隠したり、廃棄する方が一定数います。
しかし、この考え方は明らかに間違っています。
税務署は資料がなければ銀行調査や取引先へ反面調査を行います。
更に「資料を隠蔽した」と認定されてしまった場合には、通常の罰金よりも重い「重加算税」の対象となってしまう危険もあります。
通常賦課される「過少申告加算税」は増差額に対し10%(50万を超える分は15%)に対し「重加算税」をくらってしまうと35%に跳ね上がります。
そして、もっと恐ろしいのが延滞税です。
通常、過少申告加算税が賦課される場合には1年間分のみですが、重加算税をくらった場合には1年でとまることはありません。
延滞税は消費者金融並みの金利で9%前後(毎年異なります)です。
そのため、5年前の申告で重加算税をくらってしまった場合には本税のほか35%+9%×5年≒80%の負担が生じることなります。
また、資料を廃棄してしまっている場合には消費税の納税金額も非常に重くなります。
消費税の原則的な計算方式は
売上で預かった消費税から経費で支払った消費税を差し引くことにより算出します。
しかし、資料を廃棄してしまっている場合には、経費で支払った消費税のうち廃棄してしまっている部分については控除が出来ません。
資料は再発行が難しいものも多く、絶対に資料を廃棄するのはやめましょう。
質問に対して嘘をつく、曖昧な答えをする。
質問に対して嘘をいうことは絶対にやめましょう。
税務署には様々な情報が入ってきます。
納税者に関する情報は国税総合管理システム(KSK)という情報基盤に集約されており、国税の情報は一元管理されています。
調査候補先はまずこのシステムからピックアップされ、その後に統括官が調査先を選定するといわれています。しかし、どのような情報をもっているかは納税者サイドからは知る由もありません。
調査官からの質問はKSKシステムから得られている事前情報に基づき、質問が行われるような場合もあります。そして、その質問について明らかに嘘をついたような場合には、重加算税や7年間の遡及など厳しい対応をされてしまうこともあるを認識しておく必要があります。
(参考実話)
ある法人で調査を受けたお話しです。その法人では裏で色々な税金上の悪さをしてしまっていました。調査官が臨場し、午前中は1時間程度の質問、午後から調査が行われました。調査日数は3日間でした。
調査の結果、行っていた税務上の問題点が次々に判明し、追徴額は約2500万円という税務調査でした。
この案件は修正箇所も多く、多額の追徴額であったことから臨場から調査決着まで半年ほどかかり、頻繁に調査官とやり取りをしているうちに随分コミュニケーションを取れるようなになりました。
そして修正申告書を提出する際にこっそり以下のようなことを言われたことは未だに忘れられません。
「実は最初、調査に伺う前は半日で終わらせるつもりでした。そのため、質問事項に対する返答に問題がなければ午前中で帰る予定だったのです。でも、こちらの質問に対する社長さんからの回答がほとんど嘘であることがこちらの内部資料からわかりましたので、徹底的に調査を実施しました。税務署の内部には様々な情報があるんです。」
調査官からの質問に対しては嘘は厳禁。
曖昧な回答や質問事項以外の余計なことは話さないようにしましょう。
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ひらい税理士事務所
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