いざ税務調査が実施されることになった方は、自分のことで精一杯になり、税務署の職員が置かれている状況について考えが及ぶ方は少ないと思います。
しかし、税務調査では調査官が置かれている状況を意識することにより、納税額の増減や調査期間の短縮に結びつきます。
税務調査は交渉ごとであるため、交渉相手のことをしっかり理解しておくことが上手に交渉するコツでもあるわけです。
意識すべきことはいくつもありますが、特に重要な2つをご紹介します。
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調査官はサラリーマン
税務調査の際に調査を実施する調査官はサラリーマン(公務員)です。
そんなこと分かってるわ!!
という声が聞こえてきそうです。
しかし、このことは非常に重要です。
あなたがサラリーマンだった頃のことを思い出してみてください。
何か重要な事項を決定するのはあなたでしたか?それとも上司でしたか?
ほとんどの場合、上司が重要な決断を下していたはずです。
税務署も同様です。
税務調査が実施された場合、一般的な税務調査であれば、調査官は税務調査後に必ず上司に報告を行います。
上司は報告に応じて調査方針を決定します。
この流れが非常に重要です。
つまり、調査官は自分は調査件数を抱えていて早く終わらせたくても上司のOKが出なければ税務調査が終わらないのです。
そこで、納税者サイドとしては、この調査官が上司にOKをもらうためにどう動くべきかを考えフォローしてあげることも時に重要になります。(特に調査経験が乏しい調査官は調査の終わらせ方を知らないため厄介です)
調査官をフォローするなんておかしな話ですが、実際の調査でも以下のような会話をします。
税務署には異動時期や締めの時期がある
税務調査は一年を通じて行われていますが、個人の税務調査は以下のような時期的な特徴があります。
- 7月前半 異動
- 7月後半~12月 税務調査の繁忙期
- 1月~3月 個人の確定申告時期
- 4月~6月 春の調査
この流れは非常に重要です。
7月後半から12月の税務調査
この時期は税務調査の繁忙期です。
最近では6月後半に異動内示が発表され、7月上旬に異動が実施されています。
この時期の調査は職員の異動があったばかりで時間的制約もほとんどなく、じっくり税務調査が実施されます。
しかし、個人課税の場合には確定申告期間が1月から開始されるため、実質12月末までが一つの目安となり、大半の税務調査は12月末までには決着がつきます。
このことを意識しておくことでスムーズな税務調査の着地を目指すことが出来ます。
4月~6月の税務調査
確定申告時期が終わってから調査に着手する場合、比較的軽めの調査であることが多いです。
理由としては7月に調査官の異動時期がくるためです。
実際、以下のような会話を調査官から聞くことががあります。
この前、お話頂いた事項については上司と話した結果、認める方向で考えていますので来週ぐらいまでに修正申告書の提出をお願い出来ませんか?
6月末は税務署にとっても何とか修正申告をまとめたい時期でもあるため、交渉の余地があります。
しかし、この時期を過ぎてしまった場合、調査官や上司の異動があり、方針がガラッと変わることがあるため、6月末は納税者サイドにとっても一つの期限であることを忘れてはいけません。
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