税務調査に関する基礎知識

個人事業者における白色申告帳簿作成義務はあるのか?

白色申告の帳簿個人事業主の方が、はじめて確定申告を行う際、青色申告と白色申告のいずれで行うか迷うケースは意外に多いようです。

そして、迷われた結果、意外に多くの方が白色申告により確定申告を行っています。

その理由を尋ねてみると、皆さん決まって帳簿作成をしなくてよいからとお答えになります。

白色申告は本当に帳簿作成をしなくてよいから楽なのでしょうか?

実は白色申告も帳簿作成義務があり、うっかりすると多額の税負担の可能性もあることから注意が必要です。

白色申告書者にも帳簿作成義務

個人事業者の白色申告であれば、帳簿を作成しなくてもよいと考えている方が非常に多いのですが、実は、白色申告者であっても、青色申告のように正規の簿記の原則による帳簿を作成する必要まではないものの、簡易な帳簿作成義務があります。

確かに平成25年以前の白色申告者でその年の前々年及び前年の事業所得、不動産所得、山林所得の金額の合計額が300万円未満であれば帳簿作成義務は課されていませんでした。

しかし、平成26年以後は、すべての白色申告者が一定の帳簿を備え付け、保存することとされており、認識を改める必要があります。 (収入費用に関する帳簿は7年間、その他の帳簿・資料は5年間の保存義務)

 

消費税の問題にも発展

白色申告者の方が最も気を付けるべきは消費税です。

特に基準期間(前々年)の売上高が1000万円を超えているようなケースで、簡易課税の選択を行っていない場合、帳簿作成義務を果たしていなければ、消費税の負担が増加する可能性があります。

なぜならば、収入に係る消費税から控除できる費用等にかかる消費税を控除するための要件に、帳簿作成義務というものがあるからです。

帳簿に記載すべき内容としては①相手先名②年月日③取引内容④取引金額が必要です。

白色申告の方は、簡易課税制度を選択されていない方が多く、税務調査で帳簿作成を怠ったことを理由に仕入税額控除を認めない旨の指摘をされるケースが多々あります。

 

白色申告は楽?

帳簿は大きく複式簿記によるものと単式簿記により作成したものに大別できます。

複式簿記は貸借を区別し経理する方法であるのに対し、単式簿記は一つの科目に絞り経理する方法です。

会計ソフトが発達する前までは、簿記の知識がないと複式簿記による経理が難しかったのですが、近年では弥生会計に代表されるような一般の方向けの会計ソフトも内容が充実し、安価で非常に使い勝手がよくなりました。

そのため、複式簿記でも単式簿記でも手間はほとんど変わらないといってよいでしょう。

つまり、一昔前のように、白色申告であれば帳簿作成が大幅に楽又は作成しなくてもよいといったメリットが現在ではなくなってきているのです。

 

まとめ

  • 白色申告でも帳簿作成義務がある。
  • 消費税の納税義務者(原則方式)の場合には、特に帳簿作成義務に注意が必要。
  • 帳簿作成は白色申告でも青色申告でも義務が生じるため、確定申告は青色申告で行い、青色申告の特典を享受しよう!!