法人を設立して、頑張って営業活動をしてきたんだけど、気が付いたら決算期が過ぎてしまっていた・・・。
初めての決算だったので、自分でやってみようと思ったんだけど結局忙しくてやれなかった・・・
などなど。
特に会社設立後、年数がそれほど経過していない場合、結果的に無申告になってしまっていてご相談に来られる方は意外に多いです。
まだ実害はないんだけど、気にはなっている社長さん!!
よくこのページに辿りついてくれました。
この状態をほっておくと、税務署からの加算税や延滞税。会社の信用問題など様々なデメリットを引き起こします。
無申告は百害あって一利なし。
一刻も早く解消し、スッキリした気持ちで明日から営業を頑張りましょう!!
無申告によるデメリット(税金関係)
税金関係のデメリットは附帯税(加算税・延滞税)と青色申告の取り消しによる影響に大別されます。
無申告加算税
法人は原則として決算日から2月以内(申告期限)に申告をしなければなりません。
この申告期限内に申告をしない場合には無申告状態となります。
そして、この無申告状態の解消は、期限後に自主申告する場合と税務調査等により申告する場合に大別されます。
この場合、それぞれ無申告加算税というものが課されます。
- 期限後でも自主的に申告をした場合
本税の5%
- 税務調査等で指摘を受けて申告をした場合
納税額が50万円までの部分 本税の15%
納税額が50万円を超える部分 本税の20%
延滞税
無申告の場合、実は無申告加算税より場合によっては重くのしかかってくるのが、この延滞税です。
延滞税は原則として14.6%ですが、現在は特例基準割合が適用されており、過去の年度の延滞税の率は以下の通りとなっています。
- 平成27年 9.1%
- 平成28年 9.1%
- 平成29年 9.0%
- 平成30年 8.9%
- 平成31年 8.9%
この延滞税の怖さは、期限後申告については、申告をするまで止まらないというところです。
例えば、5年前に無申告であることが税務調査などで分かった場合、5年前に課される税金は単純計算すると上記の無申告加算税と延滞税を合計すると1.6倍以上の金額になるわけです。
しかも、この附帯税(加算税と延滞税)は経費にもなりません。
青色申告の取り消し
青色申告とは適正に帳簿書類を作成することにより様々な税金上の優遇規定が受けられる制度です。
しかし、申告書を申告期限までに提出しないことが2期連続で続いた場合には青色申告の取り消しとなります。
特に以下の規定が使えなくなってしまい、税負担が重くなってしまいます。
青色申告による優遇制度の一部
- 欠損金の繰越控除
- 欠損金の繰戻し還付
- 各税額控除(減価償却の特別償却、雇用者給与等支給増加に伴う税額控除、少額減価償却など)
税金以外のデメリット
期限後申告は税金以外にもさまざまな影響があります。
以下は、実務において目の当たりにしたことをご紹介します。
融資について
会社経営をしていると銀行融資は必須となってきます。
特にこれから会社を大きくしていこうと考えている場合には、避けては通れない部分です。
融資を受ける際は、必ず申告書類や納税証明書が必要です。
しかも、申告書は税務署の収受印(電子申告の場合には送信日が記載されている書類)が必要になってきますし、納税証明書は税金が完納していない場合には発行されません。
無申告の場合には融資はほぼ100%の確率で断られることになります。
せっかくの取引が水の泡
近年は、新規取引先へのコンプラチェックや信用調査が厳しくなっています。
大手企業では毎年、外注先から決算書類の提出を求めるところもあります。
無申告の状況では決算書類を提出することもできず、せっかくの取引が流れてしまう場合もあります。
税務調査により取引先からの信用力がガタ落ち。取引解消もあり得る。
無申告の状態で税務調査が実施された場合、通常調査よりも厳しい態度で臨まれます。
そして、無申告の場合、資料管理もズサンなケースも多く、取引先への反面調査に移行してしまう場合も少なくありません。
反面調査は、調査対象がわからないように行われるのが通例ですが、実際には反面調査実施により、取引先から取引解消を通告されてしまうケースもあります。