コロナウィルスの第5波もようやく落ち着きをみせ、9月30日をもって各地で緊急事態宣言がようやく解除されました。
それに伴い、弊所にも税務調査に関するご相談の連絡が急激に増えており、10月から10件以上のご相談をいただきました。
その相談の中でよく聞かれる事項に「どのような税理士を選べよいか情報量が少なく分からなかった」という声をよく耳にしました。
そこで、今回は個人の税務調査について詳しい税理士の私がもし、税務調査の立会いをお願いするのであればどんな税理士を選ぶのか?
税理士業界の実情に触れながらご紹介したいと思います。(ただし、あくまで私の個人的な考えです)
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個人事業主の税務調査は税理士にとって実は経験が最も少ない税務調査
税理士にとって税務調査は身近なものです。
しかし、意外かもしれませんが、一般的な税理士にとって個人事業主の税務調査立会いはそれほど頻度が多いものではありません。
えっ!?そうなの・・・・。
と思った方も多いと思いますが、これには大きく2つの理由があります。
単発の税務調査立ち会いを断る税理士
まず1つ目の理由は、大半の税理士は自身の顧問先の税務調査には立会いますが、単発の税務調査は受けないということがあげられます。
更に一般的な税理士事務所では個人事業主については、確定申告のみを受任している場合が多く、事務所によっては確定申告業務を受任しながらも税務調査は納税者だけで対応させるような事務所も一定数あるほどです。
(弊所にも、他の事務所にて確定申告を依頼しているにも関わらず、調査立会いを断られ、仕方なくご相談に来られる方も一定数いるほどです。)
税理士が行った確定申告書は調査割合が低い?
もう一つの理由は個人の税務調査立会いをしてきた経験から私の個人的な意見とはなりますが、税理士が行った個人の確定申告に対する税務調査の実施割合が少ないと思われることがあげられます。
これは税理士の印鑑が押してあるからという理由ではなく、確定申告書のクオリティの問題です。
例えば法人の申告書であれば、ほとんどがプロである税理士が作成しているため、申告書は表面上、体裁は整っており、一見して間違っているものの数は圧倒的に少ないはずです。
しかし、個人の場合、税理士が知識と経験を駆使し時間をかけて作成した確定申告書から、一年に一度過去の申告書を見ながら素人の方が何となく作成している確定申告書、酷い場合には過去のものを丸写しした申告書までとクオリティがピンキリです。
そして、個人事業主の税務調査の立会いを頻繁に行っている中で感じていることは、税務調査に選ばれる個人事業主の確定申告書のほとんどは一目見れば選ばれるだけの理由がある申告書である場合が多いということです。
私自身が税理士業界に入ってから作成したり関わった個人の方の確定申告書はおそらトータルすれば1000件以上あるかと思いますが、実際に調査先として選ばれたものは3件です。それも3件とも所得自体が数千万の富裕層の方のものでした。
このことは私だけが特別に素晴らしい確定申告書を作れるというわけではなく、付き合いがある税理士も同様の感覚で、個人事業主の税務調査は非常に稀であるというイメージを皆さんもっていることからも裏付けらることかと思います。
どんな税理士を選べばよいのだろう
上記で確認したとおり、個人の税務調査は税理士にとってイレギュラーであることは理解できたかと思います。
更に理解しておくべきことは一般的な税理士にとってみれば自分が作成した確定申告書の税務調査についてはしっかり対応出来ても、素人の方が自分で作成している個人の確定申告に関する税務調査についてはどう対応すべきか経験が乏しいということです。
この前提を踏まえた上でどのような税理士を選べばよいかというポイントを2つに絞り考えていきたいと思います。
個人の税務調査経験が豊富か?
まず、何といってもここが一番重要です。
上記で述べたように税理士にとって個人の税務調査は非常に特殊なものとなっていますので経験があり、方向性をしっかり示してくれる税理士を選ぶ必要があります。
また、個人の税務調査では調査対応と合わせて調査後の納税についても考えていく必要があります。
手元資金だけで完納できるケースは少ないため、徴収についてもある程度知識を有している税理士である必要があります。
近隣にあるか?何回も面談して一緒に考えてくれるのか?
最近では税務調査のみを対応する税理士事務所も増えつつありますが、まだまだ少数です。
中には派手に広告を打ち、全国対応としている事務所も見受けられ、一回面談した後は税務調査までは遠方のため打ち合わせをしない事務所もあると聞きます。
しかし、私の経験上、自身が行っていない申告に対して一回の面談で方向性を見出すことは非常に難しいと考えております。
なぜならば、税務調査では調査を受ける個人はそれぞれ事情が違うからです。
不安と緊張で上手に話ができない方やそもそも確定申告というもの自体をよく理解していない方などについては時間をかけて、根気強くヒアリングをしていく必要があります。
また、資料を一緒に拝見しながら、経費の精査をし、経費の漏れがないかを確認する作業も必要となります。
そのため、初回面談だけではなく、その後もしっかりフォローしてもらえそうな事務所を選ぶ必要があろうかと思います。
そう考えると遠方の事務所ではなく、何度か通うことを念頭になるべく近場で個人の税務調査に詳しい税理士であることが望ましいことになります。
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