税務調査の立会いをしていると仕入先や外注先などの取引業者が不正を働いている場面に遭遇します。
- 取引先の従業員が横領
- 取引先が売上除外(脱税)
- 取引先が裏金作りをしている など
上記は取引先が勝手にやっていることだから、うちには関係ないと思っている方がいますが、消費税の納税についてとんでもない目にあう可能性があります。
消費税の納税額は
売上にかかる消費税 - 仕入や経費にかかる消費税 = 消費税の納税額
により計算されます。
上記のうち「仕入や経費にかかる消費税」を控除するためには、帳簿保存の要件を満たす必要があり、以下の4つの事項を帳簿に記載する必要があります。
- いつ
- だれに
- どのような内容で
- いくら払ったか
外注先の従業員から「孫請けからの請求書を直接郵送させます。」といわれて、実は架空会社からであり、その従業員が横領をしていたなどの話を聞いたりします。
このような場合には帳簿保存要件の4つ要件のうちの「だれに」という部分で問題が生じます。
仕入先や外注先の不正により仕入税額控除が問題になり、争われた事案は比較的多いのですが、国税不服審判所の裁決を確認してみると仕入税額控除を認められるためにはいくつかのポイントがあるようです。
- 社会通念上要求される注意の範囲内で疑わしいことを確認したか?
- 帳簿に記載された相手方の氏名等が虚偽である場合、その氏名等が真正と信じるべき相当の理由が存在するか?
裁決事案を私が確認したところ、納税者が負けている事案が多いのですが、心情的にはとばっちりもいいところだと思います。
相手先が不正を行っていることが疑われるような場合には、疑わしい行動を確認し、火の粉を被らないよう、しっかり対応をしておく必要があります。