税務調査では一つのミスが致命傷となることもあります。
そこで、今回は過去に立ち合ってきた税務調査の事例などもご紹介しながら、
致命傷を負わないためにやってはいけない5つのことをご紹介します。
税務調査に関するご相談
質問に対して余計なことをいう。
税務調査では余計な一言により大変な事態に発展することがあります。
鋭い調査官ほど、腰が低く物腰が柔らかで、世間話などを交えて上手に質問をしてきます。
そのため、最初は警戒しつつも時間が経つと、ついつい質問されたこと以外の余計な一言を話してしまいます。
調査官は「余計な一言」を聞くために質問していることを決して忘れてはいけません。
【実際にあった過去の事例紹介】
建設業の税務調査において、税務調査が終了する寸前の一言が大炎上。
関係会社や取引会社などにも反面調査が拡大し、すぐに終了する税務調査の予定が終了まで1年近く続く事態に発展。
調査官に敵対的な態度をとったり、挑発する。
税務調査を好んで受けるような方はほとんどいません。
そのため、人によっては最初から喧嘩腰の方も・・・・・。
仕事が忙しいなか時間を取られ、尚且つ追加の税金や罰金を取られる可能性もあるわけですから、腹がたつのも理解できます。
ただ、相手も人間ですし、上司がいて、その上司から結果を求められ税務調査に来ているサラリーマンです。
相手が置かれている状況をしっかり理解し、交渉を行うことが結果的には自分の利益につながります。
ビジネスの場において交渉相手を不必要に挑発したり、敵対的な態度をとることが自分のポジションを良くすることはありません。
【ある国税OB(統括官)から聞いた話】
敵対的な態度、挑発、妨害などは日常茶飯事だった。
だから、そのような態度を取られると逆にやましいところがあるんだろうと考えていたし、相手が怒りはじめたら、この調査はもらったとさえ思っていた。
部下からそのような報告が上がってきた場合には、しっかり調査しろと指示を出していた。
「税理士が勝手にやった」「税理士がいいといった」など。
ほとんどの税理士は納税者の味方をします。
しかし、この一言があった瞬間、味方でなくなります。
税理士は税務調査において、唯一調査官と同じ土俵で勝負ができ、調査官と納税者の利害調整も行う重要な役割を担います。
本当だとしても、唯一の味方を敵に代えてしまうような一言は言わないほう無難です。
【上手な税理士の使い方】
税務調査における税理士の役割については人によって捉え方が違います。
自分の代わりに税務署と戦ってくれるものと考えている人が意外に多いのではないでしょうか?
確かに、そのような側面もあることは事実です。
しかし、この『戦う』という考えが強すぎると調査が長引いたり、税務署サイドも方針を変えて徹底抗戦の方針になってしまうことさえあります。
税務調査は交渉の要素も非常に強いため、税務調査における納税者の優先順位を考え、柔軟に対応してくれる税理士を仲間に引き入れ交渉役として上手に使いましょう。
分からないことを適当に答える。嘘をいう。
税務調査では、事業に関係するあらゆることが質問されます。
経理作業などは代表者がわかない場合もありますし、数年前のことであれば忘れていることもあります。
そのような場合には決して適当な答えはしないこと、また、絶対に嘘は言わないことが重要です。
何年も前のことなのでうる覚えになってしまっていることも多いと思いますのでその際は、「何年も前のことなので覚えていない」とはっきり言いましょう。適当なことをいうよりも遥かによい返答です。
調査官によっては、予め知っていることをワザと質問し、人間性を確認していることもあります。このような質問にとぼけてウソを答えてしまうと調査官のやる気スイッチを押してしまうこともあります。
【実際にあった過去の事例紹介】
自動車整備業において、税務調査が3日間行われたことがありました。
結果としては約2000万円の追徴税額ということになりました。
この事案は、折衝に時間がかかり、調査官と何度も話し合いをしているうちに裏話を聞くことに。
「最初は他の調査も立て込んでいたので半日に終わらせて帰る予定でした。そのため、いくつか質問を用意して伺ったのですが、すべてウソの回答でしたので半日で終わらせることが出来なくなってしまいました。」
とのこと。
なぜ、嘘だとわかったのか聞いたところ、「税務署には色々な情報がストックされているんです(笑)」・・・・。恐るべきKSKシステムといったところでしょうか・・・。
※KSKシステムとは
納税者に関する情報をネットワークでつなぎ様々な情報が共有できるようにしている。
申告、法定調書、税務調査で調査官が収集してきた情報、資料せん、目撃情報などが情報として共有されているといわれています。
書類の改ざん
書類の単なるミスなどはどこの会社でもあることです。
しかし、このミスを改ざんしてしまうと、調査官は「仮装・隠蔽」と捉えます。
仮装・隠蔽行為は重加算税の対象となってしまいますので絶対に行わないようにしましょう。
【実際にあった過去の事例】
税務調査実施前に経理担当者が帳票書類を確認していたところ、請求書の日付ミスが判明。慌てた経理担当は請求書の日付を改ざん。
この書類に目を止めた調査官が後日、取引先に反面調査を行った結果、改ざんが判明。
調査結果としては仮装行為として重加算税対象となり、また取引先にも反面調査が実施され迷惑をかけてしまうという最悪な結果になってしまった。
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